公益財団法人慈圭会 慈圭病院 インタビュー
- 日時:2024年1月18日(木)10:00~11:00
- インタビュイー:武田俊彦理事長・院長 佐藤裕美生活福祉支援課課長 阿部誠治生活支援課係長
- インタビュアー:大東真弓(管理者)・星昌子(顧問)
武田俊彦 理事長・院長
「慈圭病院のこころの医療」
こころの医療も青年期成人期老年期にそれぞれ専門分化してきています。ちょうどこれは、内科から小児科、老年期が分かれたのと同じで、それぞれの世代間で病の成因や治療に似て非なるものがあるからです。慈圭病院は成人のこころの病だけでなく、先見期に根差したこころの問題や老年期に生じやすい認知症など幅広い年齢層のこころの問題を、それぞれの専門医が率いる医療チームが対応しています。また、こころの病が噴火して間もない救急急性期の時期から、その後の維持期や地域支援の時期に至るまで、あらゆる病期に対応できる体制を整えています。全個室の救急急性期病棟が2病棟、その後の退院支援病棟、通所型のリハビリ施設、入所型の居住訓練施設、自宅での生活を支援する訪問型の職員派遣体制など入院治療をなるべく短くして、地域での生活を支援する体制を用意しています。
慈圭病院の倫理指針は、「わが子でも安心して任すことのできる精神科病院」です。私たちはこの指針に則って、最新、最善の医療に取り組んでいます。精神科の治療は、救急急性期の時期でも、維持期や地域支援の時期でも、患者様個人個人で多様なバリエーションがあり、治療もそのバリエーションに併せて、柔軟に組み立てなければなりません。病気の種類や程度によっては、たくさんの専門医による多様な両方が必要になります。そのために、慈圭病院では医療専門職の陣容においても県内トップクラスの体制を整えています。慈圭病院は、こころの医療に対する多様なニーズに応えられるように、常に努力を続けています。
精神保健福祉士の方々です。
向かって左側が阿部誠治さん、右側が佐藤裕美さん
ータウンサークルを利用しての感想
佐藤:
エリアが岡山市内ではなくて訪問看護が必要な人に対して、急遽お願いして訪問していただきました。非常に迅速な導入をして下さり感謝しています。
ご本人は不安が強い人だったので、関わり方次第で症状が増悪し再入院になる可能性の高い方でしたが、家族支援も含め丁寧なかかわりをしてくださったおかげで、再入院を防げています。訪問看護がスタートしてからも、関わりかたについての問い合わせをしていただき、入院病棟の看護師との連携もスムーズに行うことができて、今はデイサービスも利用できはじめて地域で安定して生活できています。
大東:
依頼に対して出来る限りタイムリーに支援に入れるように体制を作っていきたいと思っています。そういった意味からもご依頼のあった患者様の支援ポイントや病棟における看護を病棟に入って教えていただいたことはとても訪問看護にとって有意義でした。
相性がある人なので、何人かスタッフは変わりましたが、今はスタッフも定着して良好な関係性が築けています。
阿部:
エリアが広いということで依頼したケースがあります。
通常の訪問看護=服薬確認・身体精神症状の安定の確認が主な仕事の事業所が多い中で、
依頼したケースは、もう一歩踏み込んで時間をかけてご本人のニーズを発掘し、お母さまへの支援も行ってほしいケースでした。期待通りの関わりをして頂いた結果として、安定しておられるのだと思いますが、逆に関わりの中身をもう少し詳しくお聞きしたいですね。訪問看護の方が具体的にどのような支援をしてくださっているのかを知る機会が少ないです。今回こうした時間をとることによってはじめてお聞きする内容に驚いています。
上記の様なやり取りをさせて頂く中で…
ー慈圭病院のソーシャルワーカーの方たちが感じる、タウンサークルの魅力とは?
- 広域なエリアを訪問:西大寺・笠岡・高梁・玉野等
- 関わり方に工夫をしながら、必要とする支援に対しては、柔軟性を持って対応。
精神科に特化した訪問看護ステーションとして、病気や障害の特性を理解しリカバリの視点で積極的に介入。アクティブな支援を展開。
ー課題:医療機関との連携の在り方。
病院と訪問看護ステーションの情報交換を積極的に行い、利用してくださっている病院のスタッフの方たちにも、タウンサークルの活動内容をお伝えし、どんどんご意見を頂くことでより患者様に必要な支援を行っていくことが出来ると改めて強く感じました。
インタビュー後記
慈圭病院は長年にわたり岡山県の精神科医療をけん引してこられた病院です。
病院に足を踏み入れると広いエントランスとゆったりとした落ち着いた空間が広がり安心感を与えてくれます。精神科病院も変化を求められている時代に、常に積極的に新しいものを取り入れ、通院しながら地域で暮らしている精神障害者の方々を対象にアウトリーチ支援としてACT※1)を展開してこられたり、デイケアでIPS※2)を導入されたり独自に進化し続けている病院という印象を受けました。
インタビューに応じてくださった佐藤課長、阿部係長も日々クライエントにベターな支援を追求されているやさしさと誠実さを感じその中でタウンサークルを評価して下さったことにとても喜びを感じました。
武田院長、佐藤課長、阿部係長、お忙しい中貴重なご意見をお聞きする時間を作っていただきありがとうございました。
※1)Assertive Community Treatment (ACT)は、重い精神障害を抱えた人が住みなれた場所で安心して暮らしていけるように、様々な職種の専門家から構成されるチームが支援を提供するプログラムです。
https://www.jstage.jst.go.jp/article/jjomh/31/4/31_189/_pdf/-char/ja